■二十八宿
 もともと二十八宿とは月の通り道に沿って選ばれた星座を言います。二十八宿の起源については諸説あり、十二宮と同様にカルデア(現在のイラクの周辺)で生まれ、それがインドを経て中国に伝播したとする説や、中国で発祥したものがインドに伝搬しそれが方々に広がったという説もあります。日めくり暦に記載されているのは二十八宿です。宿曜占星術に使われるものは二十七宿です。違いは20番目の牛宿があるか、ないかです。なぜ牛宿が省かれる事になったのかについては、一つは牛宿にあたる天体の幅が小さすぎたため、省かれたという説。しかし他にも幅が狭い宿はあるので、この説は少し説得力がありません。次にあるのは、中国の故事に由来する説です。中国の王様が牛宿を省くように指示したという説があります。  
 二十八宿の方は日めくり暦やカレンダーに載っているもので、曜日と同じく1日1進の単純循環方式で推移してゆくものです。対して2つ目の二十七宿というのは旧暦の日付で決まるもので、天体としての月の位置を計測して出すものです。これは占いとして現在も普及しています。  また二十八宿と二十七宿という2種類の方式の決定的な違いは「4で割れる」か、「3で割れる」かという点でもあります。4で割れる二十八宿の場合は4×7で七曜と親和性があり物理的にも十字で四分割できるという使い勝手の良さもあったのかなと思います。対して3で割れる二十七宿の場合は3×9となり三世因果律と呼ばれる死生観、つまり「前世、現生、来生」という考え方と強く結びつくものとなっており、そのような決定的な思想的な違いをも内包する形となっています。

こちらは二十八宿。日々の吉凶を見るのに使います。 こちらは二十七宿。相性占いとして使用するのは主にこちら。

■二十八宿と曜日
 二十八宿は七曜と一緒に「宿曜経」により日本に伝来しました。宿曜経というこの経典の正式名称は「文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経」で、その名の通り宿について、その吉凶を書き記したものです。これを日本に持ち込んだのが真言密教の空海で、これがなければ日本の暦には七曜が載らなかったかも知れないのです。

■日めくりに載ってる二十八宿と七曜の関係

四宮 宿 吉凶時日善悪
青龍 角宿 衣類の着初め、柱立て、普請造作、結婚に吉。葬式は凶。
亢宿 衣類仕立て、物品購入、結納取り交わしは吉。普請建築は凶。
氏宿 結婚、開店、新規事業開始に吉。新仕立物の着初めは凶。
房宿

結婚、旅行、移転、柱立て、棟上げなど新規事開始は吉。

心宿 神仏の祭祀、移転、旅行は吉。結婚、普請建築その他、葬式は凶。
尾宿 結婚、開店、移転、新規事業の開始は吉。仕立物の着初めは凶。
箕宿 動土、池掘り、物品仕入、集金、建物の改造は大吉。葬式は凶。
玄武 斗宿 土堀り事に大吉。倉庫の建造、新規事の開始は吉。
牛宿 吉祥宿にてよろず吉。とくに午の刻大吉祥の日柄。
女宿 稽古事始め吉。訴訟、争論、掛け合い事、結婚、葬式は凶。
虚宿 学問始め吉。相談、掛け合いなど積極的に行動するは大凶。
危宿 壁塗り、かまど造り、酒造り、家づくり、旅行は吉、衣類仕立ては凶。
室宿 祈願始め、婚姻、祝い事、神仏祭祀などよろずよろし。
壁宿 新規事の開始、旅立ち、婚礼大吉。ただし南へ行くのは凶。
白虎 奎宿 宮造り、柱立て、棟上げ、井戸掘り、神仏祭祀、旅立ちは吉。
婁宿 動土作業、嫁取りの相談事、契約、取引始め、造園は吉。
胃宿 公事に関与するはよろし。私事にこだわるは悪し。
昴宿 神仏詣り、祝い事、家畜購入、新規事開始は吉。造改修は凶。
畢宿 神仏祭祀、婚姻、屋根ふき、棟上げ、取引開始すべて吉。
觜宿 稽古始め、山仕事始め、運搬始め吉。仕立物の着初めは凶。
参宿 物品仕入れ、倉庫納入、新規取引開始、祝い事などは吉。
朱雀 井宿 神仏参詣、動土、種まき、普請建築、落成式などよろず吉。
鬼宿 大吉日にて祝い事よろずよろし。ただし婚姻のみ凶。
柳宿 物事を断るに用いてよき日。婚姻、新規事の開始凶。
星宿 乗馬始め、便所改造吉。婚礼、祝い事、五穀種まきは凶。
張宿 就職、見合い、神仏祈願、諸祝宴、和合ごとよろずよろし。
翼宿 耕作始め、樹木の植替え、種まきは吉。高所での仕事は凶。
軫宿 地鎮祭、棟上げ、落成式、神仏祭祀、祝い事よろずよろし。

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